2013年6月26日水曜日

ダブルファネルマーケティングの理論と実践/『ダブルファネルマーケティング』特別公開#2-1 [ダブルファネルマーケティング] | Web担当者Forum [feedly]


 
 
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ダブルファネルマーケティングの理論と実践/『ダブルファネルマーケティング』特別公開#2-1 [ダブルファネルマーケティング] | Web担当者Forum
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ダブルファネルマーケティング
ダブルファネルマーケティング

この記事は、書籍『ダブルファネルマーケティング』全3部のなかから、内容の一部をWeb担の読者向けに特別にオンラインで公開しているものです。

第2部 ダブルファネルマーケティングの理論と実践

戦略の神髄はシンセシス(綜合)にあり、アナリシス(分析)の発想と相いれない。
楠木 建 『ストーリーとしての競争戦略』

第1部では、ソーシャルメディアの拡大に伴い消費者のクチコミの影響力が高まったことを受け、プロモーション領域、マーケティングリサーチ領域、カスタマーサポート領域を中心に、企業のマーケティング活動が大きく変革を迫られていることを説明した。

第2部では、そのような市場環境でマーケティングやCRM戦略を語る際に欠かせない「ダブルファネルマーケティング」の考え方を紹介する。その上で顧客の共感や感動を勝ち取ることができるような戦略を立案し、その戦略を実践に移すための具体的なプロセスを、生活用品メーカー、生活家電メーカー、会員制有料コンテンツ提供会社の3つのケーススタディを交えて説明する。

第2部 第1章 ダブルファネルマーケティング
「企業が主役」から「個客が主役」へ

第1部では、「AIDMA」「AISAS」「SIPS」という消費者行動モデルの変化に沿って、プロモーション領域、マーケティングリサーチ領域、カスタマーサポート領域における消費者コミュニケーションの変遷を振り返ってきた。ここで、より大局的な観点からマーケティング環境の変化の本質を捉え直したい。すると、その本質はコミュニケーションの主役が企業から消費者に移行したことにあるという認識に至るであろう(図2-1)。

図2-1 「企業が主役」から「個客が主役」へ
図2-1 「企業が主役」から「個客が主役」へ

「AIDMA」や「AISAS」の時代においては、コミュニケーションの推進役はあくまで「企業が主役」で消費者は受け身の存在に過ぎなかった。高度成長期は、企業から集団としての消費者に対して画一的なメッセージを発信することで需要を喚起し、ナショナルブランドを創り出すことが可能であった。それが低成長期に入ると、ターゲットセグメントごとに要求をカスタマイズしたり、CRMインフラを用いて一人ひとりの消費者に合わせたOne to Oneのコミュニケーションを展開した。いずれにせよ、まだ主導権は企業サイドに担保されていた。

ところが「SIPS」に代表されるソーシャルメディア時代のコミュニケーションにおいては、その推進役は互いにつながった消費者の一人ひとり、すなわち「個客が主役」の局面に突入し、企業は一参加者に過ぎない存在となった。

従来の「企業が主役」のコミュニケーションプロセスは、図2-2のような伝統的なパーチェスファネルで説明できる。つまり、マスマーケティングで大多数の消費者に自社ブランドを認知させ、検索行動や試用体験を経た確度の高い顧客をダイレクトマーケティングで獲得し、CS活動やCRM戦略によってリピート購入を促し、数少ない優良顧客を育成・維持するというものである。

図2-2 伝統的なパーチェスファネル
図2-2 伝統的なパーチェスファネル

それに対して「個客が主役」のコミュニケーションプロセスは、図2-3のように伝統的なパーチェスファネルを"ひっくり返した"形のインフルエンスファネルで説明される。ソーシャルメディア上のインフルエンサーが、「フォロー」や「いいね!」などの形で共感とともにコミュニティに参加し、絆を形成する。その後、ユーザーレコメンドやユーザーレビューなどのコメント投稿を通じて情報を発信・共有することで評判を増幅・拡散し、ファン同士が互いに惹かれ合う作用を生み出す。その結果、既存顧客が新規顧客を呼び、自社ブランドのファンを増加させる効果が生まれる。

図2-3 ソーシャル時代のインフルエンスファネル
図2-3 ソーシャル時代のインフルエンスファネル

とはいえ、従来型のパーチェスファネルと新型のインフルエンスファネルは必ずしも対立しあう概念ではない。パーチェスファネルを構成する既存のマーケティング手法は、次世代においても不可欠な概念である。マスマーケティングの効力は依然として無視できないものであるし、ダイレクトマーケティングについても、昨今のECや通販の市場拡大を受け、ますますその重要性を増している。そしてCS向上のためのカスタマーサポートの改善活動は企業の存在価値と収益源を守るための生命線である。これらの取り組みは、いずれも企業活動に不可欠なものだ。

大事なことは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルのシナジーを生み出すことである。前者が後者に取って代わるのではなく、むしろ図2-4のように2つのファネルを合体させ、一連のコミュニケーションプロセスを推進する統合的なマーケティング戦略と捉えるべきである。そのような統合マーケティング戦略を「ダブルファネルマーケティング」と呼ぶ。

図2-4 ダブルファネルマーケティング
図2-4 ダブルファネルマーケティング

ダブルファネルマーケティングのプロセスの区切り方は業態や商品によって多少変化するが、基本的には次の4つのフェーズに分けることができる。最初は市場での自社ブランドの認知度や顧客との接触度を高めるプロモーションフェーズ。次に見込み客をリスト化し新規顧客として獲得するためのアクイジションフェーズ。そして初回購入を達成した既存顧客に対して継続購入・定期購入やクロスセル/アップセルを促すことで客単価を高めるリテンションフェーズ。最後は育成・維持した優良顧客がエバンジェリストとなり、クチコミや友人紹介を通じて各フェーズのパフォーマンスを底上げするインフルエンスフェーズである。

そもそも従来のマーケティング戦略体系においては、複数の戦略目標を達成するために個別に様々な手法を適用し、場当たり的に統一感なくバラバラに運用してきたことに根本的な問題がある。

マスマーケティングは認知度を高めるための情報発信に関心が偏り、ダイレクトマーケティングは短期的な獲得率やCPO(Cost Per Order)に腐心し、CRM戦略は顧客満足度や継続率にこだわり、バズマーケティングはクチコミの発生件数や友人紹介による成約件数にのみ興味があった。

本来であれば、これらのあらゆるマーケティング戦略をバラバラに運用するのではなく、ひとつの戦略目標のもとに統一感を持ったコミュニケーションシナリオやKPI(Key Performance Indicator)をデザインし、それを遂行できるように全体の組み合わせを最適化する必要がある。つまりダブルファネルマーケティングとは、既存顧客のクチコミが新規顧客の開拓・購入・継続を促進する効果(ダブルファネル効果)を有効活用し、プロモーション⇒アクイジション⇒リテンション⇒インフルエンスという一連のプロセスにおける各フェーズのパフォーマンスを底上げすることで、マーケティング戦略全体のROIを最適化する手法に他ならない。

クチコミの原動力は顧客体験

クチコミが生み出すダブルファネル効果を最大化するには、消費者に誰かに共有・拡散したいという気持ちを抱かせるような情報やきっかけを何かしらの仕掛けによって発生させなければならない。

もちろん、従来のようにインパクトの強いコンテンツやタレントを起用することによりクチコミを発生させ、半ば強制的にブランドに関する評判形成や話題づくりを行うことも可能である。ただし、そのような方法で発生するクチコミは、消費者がその商品を求めるタイミングやシチュエーションとは無関係の状況で発生するため、脈絡のない不自然な情報伝達になりやすい。結果、商品そのものの価値や消費者のニーズとは乖離した、イメージ先行のクチコミに終始することが少なくない。

対するダブルファネルマーケティングでは、クチコミの源泉・原点は「顧客体験」を創出することにあると考える。消費者のニーズが発生しやすいタイミングや商品の価値が最も発揮されやすい状況で、消費者がブランドに接触・関与し、商品を試用・体験し、商品価値を体感・実感してもらったり、ちょっとした気付きや驚き・感動を覚えたりするような機会や空間を提供することで、消費者が自然と商品価値についてのクチコミを共有・拡散したくなるような気運を創り出す。

例えば、お祭りやパーティーなどの多幸感のあるイベントの中で、試供品を配布したりサービスを疑似体験してもらったりすることで、ブランドとの自然な出会いを演出する。具体的には、真夏の音楽フェスティバルの会場などで日焼け止めや新発売のアイスクリームのサンプルを配布し、クチコミを生み出している例がある。メーカーがイベントに協賛し応援するだけでなく、試供を通じて参加者への気遣いや理解を示すことで共感や好感を伴うクチコミを生み出し、消費者とブランドとの距離感を縮めている。

また、実際に駅前の商店街やECサイトで、商品を購入したりサービス利用を申し込んだりする前に、店頭のPOPやSNSで購入者の声や体験談を紹介することで、購入・利用をためらっていた消費者の背中を押す。具体的には、アマゾンやTwitterでの評判を店頭のPOPで紹介している書店などの例がある。「Web書評で~~と評判の○○が登場」「カノジョがカレに勧めたい書籍No.1」などのユーザーレビューやレコメンド情報を紹介することで、購入意思決定に対する納得感や安心感を生み出すとともに、購入後に消費者が同様のユーザーレビューを添えてクチコミを発信することを誘発している。

さらに、通勤電車内やサークル・同好会のような普段から慣れ親しんだ日常生活の中で、あまり知られていない商品の価値、新しい使用方法や楽しみ方といったトリビアを提供することで、消費者に気付きや驚きを喚起する。例えば「猛暑の夏に化粧品を冷凍庫に入れて使用すると冷たくて気持ちがよい」などの体験談をコミュニティで紹介したり、商品開発担当者による制作秘話や舞台裏を紹介したり、Twitter上でユーザーからの質問や要望に答えたりすることで、消費者のブランドに対する親近感や信頼感を生み出し、ロイヤルティを高めることができる。

重要なのは、消費者が商品のことを「知りたい」「使いたい」と感じる場所や瞬間に、商品価値を体験・実感できる機会や情報を提供することである。つまり、消費者ニーズが発生するTPOを捉えて顧客のブランド体験を意図的に創出する施策を打つことが求められる。そのような施策は、消費者の認知・購買・継続の確度を高めるだけでなく、消費者がそこで得た体験や感動を誰かに伝えたい、その商品の価値を友人や知人にも享受してもらいたいという自発的・能動的な気持ちを引き起こす。そうした気持ちを抱かせるような顧客体験の創出こそが、ダブルファネル効果を促していくクチコミを生み出す原動力なのである。

ダブルファネルマーケティング
  • ダブルファネルマーケティング
  • トランスコスモス・アナリティクス 著/北出大蔵 編
  • ISBN 978-4897979106
  • リックテレコム 発行

この記事は、書籍『ダブルファネルマーケティング』 の内容の一部を、Web担の読者向けに特別にオンラインで公開しているものです。

マーケティング、CRM、データ分析の観点からソーシャル時代に適応するための処方箋

ソーシャルメディアの拡大により、クチコミの影響力が飛躍的に高まり、消費者コミュニケーションの主役は企業から「個客」へと移行しています。ダブルファネルマーケティングは、このような時代の変化に適応すべく、既存顧客の共感・感動体験のクチコミを新規顧客に共有・拡散することで、認知度・受注率・継続率などを底上げするような好循環を生み出し、顧客資産価値や顧客の感動を最大化していくための統合マーケティング戦略です。

その戦略の成功の鍵を握るのは、企業の「データガバナンス」力。顧客の行動/発言データを収集・分析・活用しPDCAサイクルを回すには、その推進役を担うデータサイエンティストの育成や、知的業務の効率化に向けたKPO(Knowledge Process Outsourcing)の活用が不可欠です。また、データや分析に対する考え方についても発想の転換が求められます。従来のような「統計的に正しい知識」を得るための分析(アナリシス)に終始せず、社内外の膨大かつ多様なビッグデータの統合(シンセシス)をもっと重視すべきでしょう。なぜなら、出現率の低いレアケースの行動/発言のタイムラインを観察し「個客」のインサイトを深めることが、クチコミの源泉となる「感動体験の創出に役立つ知恵」を得ることにつながるからです。

本書は、このような新しい時代のマーケティングやCRM戦略、およびデータ分析の理論と技法を、国内外の事例を交えて体系化したものです。

この記事の筆者

編者紹介

北出 大蔵
トランスコスモス・アナリティクス株式会社
主席コンサルタント

一橋大学経済学部卒。2002年トランスコスモス(株)入社。現在トランスコスモス・アナリティクス(株)で、調査・分析に基づくCRM/ダイレクトマーケティングのコンサルティングに従事。健食通販アウトバウンド最適化事例で、Contact Center World Awards 2006の世界最優秀賞受賞。主な著作として「アウトバウンドの本」(リックテレコム)など。趣味は夏フェス、美仏巡礼。

執筆者一覧

監修 河野 洋一/益村 勝将/竹内 陽
第1部 西田 征史/滝沢 浩司/海津 紗代子/國場 初音
第2部 東 直良/青木 志保/瀬川 隆志/服部 早希
第3部 篠田 洋輔/波多江 浩之/開地 祐子/鍋田 匠伴
事例集 トランスコスモス・アナリティクス(株) メンバー一同

協力

慶応義塾大學 政策・メディア研究科 特別招聘教授 夏野 剛
トランスコスモス(株) 所 年雄/調査部/サービス企画部
トランスコスモス・グループのみなさま
お客様企業およびパートナーのみなさま

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GoogleのContent Experiments APIを使えば多様なロジックでA/Bテストを展開できる [feedly]


 
 
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GoogleのContent Experiments APIを使えば多様なロジックでA/Bテストを展開できる

Googleが今日(米国時間6/4)、デベロッパのためのWebサイトテスト(実験)〜最適化ツールContent Experiments APIローンチした。このAPI集合の背後にあるのはGoogle Analyticsなので、要するにAnalyticsの力を利用してさまざまな最適化努力の結果を計測できるのだ。Googleはこう説明している:"このAPIはGoogle Analyticsを本格的なA/Bテストプラットホームにするので、すべてのタイプのデベロッパがGoogle Analyticsを利用して実験を行えるようになる"。

Content Experimentsそのものは、Googleが1年前にローンチしたA/Bテストサービスで、その後も継続的に機能が追加されている。このサービスはmulti-armed bandit方式*でA/Bテストを行い、各バリエーションの成績に基づいてユーザの実験接触頻度を調節する。〔*: multi-armed bandit, モンテカルロ法のような、一種の乱数化サンプリング(ふつうスロットマシン(bandit)はアーム(arm)が一本しかないが、複数のアームのあるスロットマシンを多様な乱数生成系として比喩的にイメージする)〕。

今回のAPIでは、デベロッパが作ったバリエーション選択ロジックに基づいて、このMAB方式による実験を行える。結果の測値は、Google Analytics が出してくれる。

JavaScriptからContent Experimentsサービスを使うより、APIを直接使った方が良いと言えるのは、たとえば、ユーザをリダイレクトさせずにテスト対象の変更ができる。違うバリエーションをユーザに見せるために、よくリダイレクトが使われるが、それにはユーザ体験を損なう危険性がある。

また、テストをサーバサイドで行える。それはふつうのA/Bテストサービスにはない機能だが、Googleは、"サーバサイドで行うとリコメンデーションや検索のアルゴリズムの異なる実装のテストをやりやすい"、と言う。

さらにGoogleの主張では、小売店のキオスクのような、ノンWebの環境でもアプリケーションの異なるレイアウトやコンテンツや機能のテストをやりやすい。

A/Bテストツールは昨年あたりからホットな市場になってきて、たとえばOptimizelyは今年初めに2800万ドルを調達し、Amazonはモバイルアプリ用のテストサービスをローンチ、さらにTC Disrupt BattlefieldのファイナリストPathmappなど、数え切れないほど多くのスタートアップたちがデベロッパの関心を惹こうとねらっている。


[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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